中国ではInstagramやLINE、YouTube、Googleといった日本で当たり前に使われているサービスが、原則として利用できません。
その背景にあるのが、中国政府によるネット規制の仕組みです。中国ではなぜSNSが規制されているのかを知ることは、中国市場を理解する第一歩となります。
本記事では、中国のSNS規制がなぜ存在するのか、どのようなサービスが使えないのか、そして中国ではどのようなSNSが利用されているのかをコラム形式で整理します。
中国市場やインバウンド集客に関心のある事業者の方も、ぜひ参考にしてみてください。
中国のSNS規制とは|規制が行われている背景
中国のSNS規制を語るうえで欠かせないのが、「グレートファイアウォール」と呼ばれるネット検閲システムの存在です。
グレートファイアウォール(Great Firewall)とは、中国国内のインターネット環境を管理・制御する仕組みの通称で、国外のWebサービスへの通信を選別・遮断する機能を持っています。
具体的には、特定のドメインやIPアドレスへのアクセスをブロックしたり、コンテンツをフィルタリングしたりする仕組みがあり、SNSだけでなく、検索エンジンやメッセージアプリ、動画プラットフォームなども規制の対象となっています。
ここでは、中国でSNSを含むインターネット規制が行われている背景について解説します。
国内の情報を管理するため
中国がSNSを規制する理由のひとつは、国家安全や社会秩序の維持を目的として、国内で流通する情報を管理するためです。
中国では、政府への批判や政治的に敏感な話題、社会的な混乱につながると判断された情報などが、規制の対象となる場合があります。
こうした情報がSNSを通じて広く拡散することを防ぐため、中国政府は国内の投稿内容を管理するとともに、国外のサービスへのアクセスも制限しています。
中国国内の法律に基づいてインターネットを管理するため
中国では、サイバーセキュリティ法をはじめとする法律によって、インターネットサービスを提供する事業者に情報管理やセキュリティ対策が求められています。
具体的には、利用者の実名情報の確認や、法律で禁止された投稿の削除・拡散防止などが義務づけられています。また、一定の条件に該当する事業者には、中国国内でのデータ保管も求められます。
海外企業が中国国内でサービスを提供する場合も、こうした法律や規制への対応が必要です。
中国では、法律で禁止された情報について、国外から発信されたものであっても通信を遮断する措置が認められています。こうした法制度とアクセス制限の仕組みが、中国本土で一部の海外SNSを利用できない背景となっています。
中国で使えない主なSNSやWebサービス
グレートファイアウォールの影響を受け、日本や欧米で主流のSNSやWebサービスの多くが中国本土では原則として利用できません。
ここでは、中国本土で利用できない代表的なSNSやWebサービスを、種類ごとに紹介します。
メッセージ・SNS|LINE・WhatsApp・Facebook・Instagram・X
中国本土では、以下のメッセージアプリやSNSが原則として利用できません。
- LINE
- X(旧Twitter)
中国では、メッセージやコミュニケーションにはWeChat(微信)、SNSでの情報収集・発信には小紅書(RED)やWeibo(微博)などが利用されています。
企業が中国国内のユーザーへ情報を届ける場合も、中国で利用されているプラットフォームに合わせて発信手段を検討する必要があります。
検索・動画|Google・YouTube
検索や動画、情報発信に使われる以下のサービスも、中国本土では原則として利用できません。
- Googleマップ
- Gmail
- Google Drive
- YouTube
中国では、検索にはBaidu(百度)、動画にはDouyin(抖音)やBilibiliなど、中国国内で利用できるサービスが普及しています。
ビジネスで日常的に使用しているサービスが中国では利用できない場合があるため、中国市場へ進出する際は現地のインターネット環境に合わせた情報収集・発信手段を準備することが重要です。
中国で利用されている主なSNS
海外のSNSやWebサービスの一部が利用できない中国では、WeChat・Weibo・小紅書(RED)・Douyinなどのサービスが広く利用されています。
それぞれメッセージ、情報発信、口コミ・情報収集、動画など異なる特徴を持っています。
ここでは、中国で利用されている代表的な4つのSNSについて、それぞれの特徴を紹介します。
- メッセージ・コミュニケーション:WeChat(微信)
- SNS・情報発信:Weibo(微博)・小紅書(RED)
- 動画:Douyin(抖音)
WeChat(微信)|メッセージや決済などを備えた生活インフラ
WeChat(微信)は、中国で広く利用されているメッセージアプリです。
日本のLINEのように、個人間のメッセージや音声・ビデオ通話などに利用されています。
さらに、メッセージ機能だけでなく、決済・ミニプログラム・公式アカウント・ニュースフィードなど、日常生活に関わるさまざまな機能を一つのアプリに備えているのが特徴です。
連絡手段としてだけでなく、買い物や支払い、各種サービスの利用などにも活用されており、中国では生活に密着したアプリとして普及しています。
Weibo(微博)|リアルタイムの情報発信に強いSNS
Weibo(微博)は、短い文章や画像、動画などを投稿できる中国のSNSです。
日本ではX(旧Twitter)に近いサービスとして紹介されることが多く、ユーザーは投稿へのコメントやシェアなどを通じて情報を共有できます。
ニュースや話題になっている出来事、著名人や企業からの情報など、リアルタイム性の高い情報が広がりやすいことが特徴です。
個人による情報発信だけでなく、企業やブランドなども公式アカウントを開設し、情報発信の場として活用しています。
小紅書(RED)|口コミや体験を共有するライフスタイルSNS
小紅書(RED)は、画像や動画を中心に、ユーザーが自身の体験や口コミを共有する中国のSNSです。
Instagramに近いサービスとして紹介されることもあり、化粧品・ファッション・旅行・グルメなど、ライフスタイルに関する投稿が多く見られます。
投稿は「ノート」と呼ばれ、実際に商品を使った感想や訪れた場所の体験など、ユーザー自身の経験をもとにした情報が投稿されています。
また、SNSとして投稿を見るだけでなく、気になる商品や旅行先、店舗などについて検索し、情報収集する用途でも利用されています。
Douyin(抖音)|中国で利用されているショート動画SNS
Douyin(抖音)は、短い動画を中心に視聴・投稿できる中国のショート動画プラットフォームです。
TikTokと同じByteDance社が提供していますが、TikTokとは別のサービスとして運営されています。
ユーザーは縦型動画を次々と視聴でき、エンタメをはじめ、グルメや美容、旅行など幅広いジャンルのコンテンツが投稿されています。
動画の視聴・投稿だけでなく、ライブ配信やライブコマースなどの機能も備えており、さまざまな用途で利用されています。
中国SNS規制がビジネスに与える影響
中国のSNS規制は、単に「使えないサービスがある」という話にとどまりません。
中国市場では、日本で利用されているマーケティング手法をそのまま活用できない場合があります。
一方で、中国のSNS環境を理解することは、インバウンド集客や越境ECの施策を検討するうえでも重要です。
ここでは、SNS規制がビジネスに与える影響と、それを踏まえた取り組みの方向性を整理します。
日本のマーケティング手法がそのまま通用しない理由
中国では、日本で主流のSNSやWebサービスの一部が利用できず、中国独自のプラットフォームが広く使われているため、日本と同じマーケティング手法をそのまま活用することはできません。
たとえば、Google広告やInstagram運用、LINE公式アカウントといった手法は、中国国内のユーザーへ情報を届ける方法としては適していません。
中国ではWeChat(微信)や小紅書(RED)などのSNSが広く利用されています。また、検索サービスではBaidu(百度)などが使われており、それぞれのプラットフォームに合わせた情報発信が必要です。
さらに、プラットフォームごとにコンテンツのルールや禁止ワードなども異なるため、中国のインターネット環境に合わせて施策を設計する必要があります。
訪日中国人への情報発信にも中国SNSを活用できる
中国SNSは、中国本土のユーザーだけでなく、日本を訪れる中国人観光客への情報発信にも活用できます。
訪日前の情報収集では、小紅書(RED)などで日本の観光地や店舗、商品に関する情報を検索するユーザーもいます。
そのため、インバウンド集客を検討する事業者にとっては、中国国内で普及しているSNSも情報発信の選択肢の一つとなります。
たとえば、旅マエに小紅書(RED)で店舗や商品の情報を発信するなど、ターゲットや目的に合わせてプラットフォームを活用することが重要です。
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中国のSNS規制|まとめ
- グレートファイアウォールにより、Google・Instagram・LINE・X・YouTubeなどは中国本土では原則として利用できない
- 中国では、国家安全や社会秩序の維持などを目的とした情報管理や、法律に基づくインターネット管理が行われている
- 中国ではWeChat・Weibo・小紅書(RED)・DouyinなどのSNSが広く利用されている
- 中国市場では、現地で利用されているプラットフォームに合わせた情報発信が必要
- 中国SNSは、訪日中国人に向けたインバウンド施策の情報発信にも活用できる
本記事では、中国のSNS規制の仕組みや背景、中国本土で利用できない主なサービス、中国で利用されているSNSについてご紹介しました。
中国では、日本で主流のSNSやWebサービスの一部が利用できないため、中国市場へ情報を発信する際は現地のインターネット環境を理解することが重要です。
WeChat・Weibo・小紅書(RED)・Douyinなど、それぞれの特徴を理解し、自社の目的やターゲットに合わせてプラットフォームを選びましょう。
中国市場への情報発信だけでなく、訪日中国人を対象としたインバウンド集客でも、中国SNSの活用を検討してみてください。


