日本を訪れる中国人観光客は旅行前から帰国後まで、SNSを通じて行き先・店舗・宿泊施設の情報を収集し、購買行動を決定しています。
InstagramやGoogleが使えない中国独自のSNS環境でインバウンド集客を成功させるには、小紅書(RED)・WeChat(微信)・Douyin(抖音)・大衆点評といったプラットフォームへの理解なしに、中国人観光客へ情報を届けることはできません。
本記事では、中国インバウンド集客でSNSが欠かせない理由から、プラットフォームごとの特徴と使い分け、実際の成功事例まで解説します。
どのSNSから始めればいいか迷っている事業者の方も、ぜひ参考にしてみてください。
中国インバウンド集客にSNSが欠かせない理由

日本を訪れる中国人観光客は増加しており、中国市場はインバウンド集客において重要なターゲットの一つとなっています。
日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2025年の年間訪日中国人数は909万6,455人にのぼります。
また、観光庁の調査では旅行消費額が2兆58億円となり、国・地域別で1位を記録するなど、消費額においてもインバウンド市場を支える重要な存在となっています。
出典:訪日外客統計|JNTO(日本政府観光局)/インバウンド消費動向調査|観光庁
こうした中国人観光客への集客を強化するうえで、重要な役割を担っているのがSNSです。
中国では旅行の情報収集や店舗選びにSNSが活用されているだけでなく、日本とは利用されているプラットフォームも異なります。
ここでは、中国インバウンド集客においてSNSが重要となる背景を、旅行前後の行動と中国独自のSNS環境という2つの視点から解説します。
訪日中国人は旅マエから旅アトまでSNSで動く
近年ではOTA(オンライン旅行代理店)に任せるのではなく、SNS上の口コミや体験談を参考に旅行先を決める傾向があります。
特に中国は、旅マエ・旅ナカ・旅アトのすべての段階でSNSと密接につながっている傾向が強いです。
例えば、旅マエは小紅書やDouyinで「日本旅行おすすめスポット」「東京グルメ」などを検索しながら行き先と店舗を決め、旅ナカは大衆点評で近隣の高評価店舗をリアルタイムで探し、旅アトはWeChatやSNSに体験をシェアして次の観光客へ情報を広げていきます。
SNSで認知されていない店舗や施設は、検討リストに入る前に候補から外れてしまう可能性が高いため、インバウンド集客にSNSは重要だと言えるでしょう。
中国独自のSNSが旅行先や店舗選びに使われている
中国では、小紅書(RED)やDouyin(抖音)、大衆点評などのSNS・プラットフォームが、旅行先や店舗を探す際の情報収集に活用されています。
一方、InstagramやGoogle、LINE、Facebookなど、日本で一般的に利用されているサービスの一部は、中国本土ではグレートファイアウォールの影響により利用が制限されています。
そのため、日本国内向けのSNSやWebサイトだけで情報を発信していても、中国人観光客が旅行先を検討する段階で十分に情報を届けられない可能性があります。
中国人観光客に自社の店舗やサービスを知ってもらい、旅行先や来店先の候補に入れてもらうためには、中国で日常的に利用されているSNS・プラットフォームで情報を発信することが重要です。
中国インバウンド集客に使える主要SNS・プラットフォーム

中国のSNS環境は複数のプラットフォームが並立しており、それぞれ異なるユーザー層・利用シーン・コンテンツ形式を持っています。
インバウンド集客で成果を出すには、自社の業種やターゲット層に合ったプラットフォームを選び、旅マエから旅アトまでの接点を設計することが基本戦略となります。
ここでは、中国インバウンド集客で特に重要な5つのプラットフォームの特徴を整理します。
| プラットフォーム | 主な特徴 | 強いフェーズ | 相性の良い業種 |
|---|---|---|---|
| 小紅書(RED) | 口コミと購買が直結するライフスタイル共有型SNS | 旅マエ | 飲食・小売・美容・宿泊 |
| Douyin(抖音) | 拡散力の高いショート動画プラットフォーム | 旅マエ | 観光施設・体験型サービス |
| WeChat(微信) | メッセージ・決済を統合したスーパーアプリ | 旅ナカ・旅アト | 宿泊・小売全般 |
| 大衆点評 | 中国最大の口コミ・グルメ情報サービス | 旅ナカ | 飲食・観光・宿泊 |
| Weibo(微博) | 話題化に強い拡散型SNS | 旅マエ | キャンペーン施策全般 |
小紅書|旅マエの認知獲得に最も直結
小紅書は月間アクティブユーザー数3億人を超える、口コミと購買行動が直結するライフスタイル共有型SNSです。
化粧品・ファッション・グルメ・旅行など幅広いジャンルでユーザーがリアルな体験をノート(投稿)として発信する文化が根付いており、「日本旅行で行くべき場所」「東京の美食」といったキーワードで日々大量の検索が行われています。
訪日前の情報収集先として圧倒的な影響力を持つため、旅マエに「行きたい」「買いたい」という意欲を生み出す認知獲得の起点として、インバウンド集客で最初に取り組むべきプラットフォームです。
KOL(中国で影響力を持つインフルエンサー)やKOC(Key Opinion Consumer:一般消費者目線の発信者)と連携した投稿が、旅行前の指名買いや来店予約につながる導線として機能します。
Douyin(抖音)|旅マエの認知拡大に強い
Douyin(抖音)はTikTokと同じByteDance社が運営する中国国内向けショート動画プラットフォームです。
15秒〜数分の縦型動画でエンタメ性の高いコンテンツが好まれ、料理の調理工程・観光地の景観・宿泊施設の部屋紹介など、視覚的な魅力を短時間で伝えられる業種との相性が特に良いプラットフォームです。
拡散力が高く、バズった投稿が一晩で数十万再生に達するケースもあるため、新規認知の獲得スピードという点では他のプラットフォームを上回る可能性があります。
ライブコマース機能も発達しており、配信を見ながら直接商品を購入できる仕組みも定着していることから、越境ECとの連動も視野に入れた活用が可能です。
旅マエの段階で動画を通じて観光地や店舗の魅力を伝え、「行ってみたい」という興味を生み出す認知拡大に適しています。
WeChat(微信)|旅ナカ・旅アトの関係構築に強い
WeChat(微信)は月間アクティブユーザー数13億人を超える中国最大の生活インフラ型SNSで、メッセージ・決済・ミニプログラム・公式アカウントを一つのアプリに統合したスーパーアプリです。
インバウンド集客では、公式アカウントを通じたクーポン配布・最新情報の発信・来店後のフォローアップなど、顧客との継続的な関係構築に強みを発揮します。
旅ナカでは来日中の観光客がWeChatで友人や家族と情報を共有するため、口コミの起点にもなりやすく、WeChat Payによるキャッシュレス決済対応は中国人観光客の満足度を高める重要な施策のひとつです。
小紅書やDouyinで認知を獲得した後、WeChatで顧客を囲い込み・リピーター化するという組み合わせが、中国SNSマーケティングの基本的な流れとして定着しています。
大衆点評|旅ナカの来店誘導を左右する口コミサイト
大衆点評は日本の食べログに相当する中国最大の口コミ・グルメ情報サービスで、飲食店・観光施設・宿泊施設のインバウンド集客では事実上必須のプラットフォームです。
中国人観光客は旅行中もスマートフォンで近隣の高評価店舗をリアルタイム検索する習慣があり、大衆点評で上位表示されているかどうかが来店数に直結します。
店舗情報の中国語整備・写真の充実・口コミ評価の管理といった基本的な対応を徹底することが、旅ナカの来店誘導を最大化するための土台となります。
小紅書で旅マエに認知を取り、大衆点評で旅ナカに来店を後押しするという組み合わせが、飲食店インバウンドの定番導線として多くの事業者に採用されています。
Weibo(微博)|話題を広げるキャンペーン向け拡散SNS
Weibo(微博)は中国版X(旧Twitter)と呼ばれる拡散型SNSで、ニュースやトレンドのリアルタイム発信に強く、企業アカウントは100万超を擁しています。
旅行においては、観光地やイベント、季節の話題などの最新情報をチェックしたり、話題になっているスポットを知ったりする際に活用されており、特に旅マエの情報収集や認知獲得と相性があります。
ハッシュタグキャンペーンやKOLとの連携で短期間に話題を生み出す際の拡散力は高く、新商品の発表やシーズンキャンペーンとの相性が良いプラットフォームです。
ただし近年はDouyinや小紅書の台頭により若年層の利用比率が相対的に低下しているため、幅広い年齢層へのリーチを狙うキャンペーンや、認知拡大フェーズでの活用に向いています。
小紅書やDouyinを軸としたうえで、拡散力の補完として組み合わせるポジションとして捉えると、効率的な活用が期待できます。
中国インバウンド集客SNS活用の成功事例

中国向けSNSを活用してインバウンド集客に成功した事例は、業種・規模を問わず国内各地で増えています。
具体的な成功事例を知ることで、自社でどのプラットフォームをどう活用するかのイメージが格段に掴みやすくなります。
ここでは業種の異なる3つの事例をご紹介します。
飲食店|小紅書×Douyinでラテアートカフェが中国人観光客に拡散
東京・原宿にあるラテアートカフェ「Reissue(リシュー)」は、自社発信とユーザー投稿の掛け合わせで認知が拡大したお店で、小紅書とDouyinの特性をうまく活かした事例です。
小紅書でラテアートの写真を継続投稿し、ビジュアルの独自性でラテアート愛好家層の関心を惹きつけました。
その後、来店した中国人観光客やKOLが店内の雰囲気やメニューをDouyinに動画投稿したことで口コミが一気に広がり、旅行前に「原宿のラテアートカフェ」として検索されるブランドポジションを確立して、多くの訪日観光客から注目を集めています。
宿泊施設|小紅書を利用した広告施策で3カ月150万円の売上
和歌山県内のリゾート宿泊施設では、小紅書(RED)で月額12万円程度の広告を実施したところ、予約数が大幅に増加し、3カ月で150万円の売上を達成した事例があります。
同施設の公式アカウントでは、各投稿の「いいね」数は30件前後と決して多くありませんでした。
しかし、投稿を閲覧したユーザーの予約率が高く、実際の宿泊予約につながったことで売上増加に結びついています。
この事例からも、「いいね」などの反応数だけではなく、実際の予約や売上まで含めて成果を判断することが重要だと分かります。
大都市圏に限らず地方の宿泊施設でも、小紅書を活用して訪日前の中国人観光客へアプローチすることで、実際の予約につなげられる可能性があります。
参考:RED(小紅書)を活用した中国人観光客の集客について|福岡県
観光・交通|西日本鉄道が投稿1本で予約を継続獲得
西日本鉄道では、同社が運営する観光列車に実際に乗車した際の様子を動画で紹介し、福岡県観光連盟が運用する小紅書アカウントに投稿しました。
観光列車を利用する体験そのものを動画コンテンツとして発信したところ、投稿直後には小紅書経由で毎日20〜30件の予約問い合わせが寄せられるなど、大きな反響につながっています。
さらに投稿から4カ月が経過した後も、同じ投稿から週に3〜4件の問い合わせが継続しており、長期的な集客効果につながっています。
投稿直後だけでなく、数カ月後もユーザーに見つけてもらえることで、1本の投稿が継続的な集客につながった事例です。
参考:RED(小紅書)を活用した中国人観光客の集客について|福岡県
自社に合ったSNSを選ぶための考え方

複数の中国SNSを把握したうえで重要なのは、自社の業種・目的・リソースに合ったプラットフォームを優先順位をつけて選ぶことです。
また、すべてのプラットフォームを同時に運用しようとすると、コンテンツの質が下がり成果が出にくくなるため、まず1〜2つに絞った集中運用がおすすめです。
ここでは、業種や目的、旅行のどの段階で中国人観光客にアプローチしたいかを踏まえ、自社に合ったSNSを選ぶための考え方を整理します。
飲食店・カフェ・スイーツ|小紅書と大衆点評
飲食店・カフェ・スイーツ店のように、料理や店舗のビジュアルが集客につながりやすい業種には、小紅書と大衆点評の組み合わせが適しています。
旅マエは小紅書で料理や店舗の雰囲気、実際の利用体験などを発信し、「日本に行ったら訪れたい」と思ってもらうきっかけをつくります。
旅ナカでは大衆点評を通じて近隣の店舗を探す中国人観光客にアプローチすることで、実際の来店につなげやすくなります。
宿泊施設・旅館・ホテル|小紅書とWeChat
宿泊施設・旅館・ホテルには、旅マエの情報収集に強い小紅書と、問い合わせや顧客との関係構築に活用できるWeChatの組み合わせが適しています。
小紅書では客室や食事、館内施設、周辺観光など、宿泊した際の体験をイメージできるコンテンツを発信し、旅行前の宿泊先選びにアプローチします。
WeChatでは、問い合わせ対応や最新情報の発信などに活用することで、宿泊を検討しているユーザーや利用者との継続的な接点をつくることができます。
観光施設・アクティビティ|Douyin
観光施設やアクティビティなど、体験そのものに視覚的な魅力がある業種には、ショート動画を中心としたDouyinが適しています。
観光地の景観やアクティビティを実際に楽しんでいる様子など、写真だけでは伝わりにくい魅力を動画で発信することで、旅マエの中国人観光客に「体験してみたい」と感じてもらうきっかけをつくれます。
小売・美容・ファッション|小紅書
小売・美容・ファッション業種には、商品やサービスの口コミ・体験談を参考にするユーザーが多い小紅書が適しています。
KOL・KOCによる商品紹介や使用体験、自社アカウントからの情報発信を通じて、訪日前から商品やブランドへの興味を高めることができます。
EC機能との連動も視野に入れることで、認知獲得だけでなく購買につなげる活用も可能です。
アプローチしたい旅行の段階に合わせてSNSを選ぶ
中国インバウンド集客で成果を最大化するには、旅マエ・旅ナカ・旅アトの3段階それぞれで適切なプラットフォームを使い分ける導線設計が基本戦略となります。
旅マエは小紅書・Douyin・Weiboで認知を獲得し「行きたい・買いたい」という意欲を醸成するフェーズで、投稿の蓄積と検索対策が長期的な集客力を生み出します。
旅ナカは大衆点評での上位表示と口コミ管理・WeChat公式アカウントでの来店促進クーポン配布が、実際の来店・購買につながる最後の後押しになります。
旅アトはWeChatや小紅書でのフォローアップを通じて再訪意欲を高め、帰国後の口コミ発信を促すことで次の観光客への影響が連鎖する仕組みを構築できます。
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インバウンド集客 SNS|まとめ

- 訪日中国人は旅マエ・旅ナカ・旅アトのすべての段階でSNSを通じて行動を決める
- 中国ではInstagram・Google・LINEが使えないため、中国独自SNSへの理解と対応が必須
- 小紅書(RED)・WeChat・Douyin・大衆点評・Weiboがインバウンド集客の主要プラットフォーム
- 業種・目的によって最適なプラットフォームは異なり、まず1〜2つに絞った集中運用が現実的
- 中国インバウンド集客のSNS運用にお悩みなら、witheraが戦略設計から運用まで一貫してサポート
本記事では、中国インバウンド集客にSNSが欠かせない理由から、プラットフォームごとの特徴と使い分け、成功事例、自社に合った選び方までご紹介しました。
中国人観光客へのインバウンド集客では、日本のデジタルマーケティング手法をそのまま転用するのではなく、中国独自のSNS環境を理解したうえで戦略を設計することが重要です。自社に合ったSNSを選び、旅マエから旅アトまで一貫した導線を構築することが成果につながります。
小紅書を起点とした旅マエの認知獲得から、大衆点評やWeChatを活用した旅ナカ・旅アトの導線構築まで、一貫した施策設計がインバウンド集客の成果につながります。
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